原 著
大腸がん検査における大腸カプセル内視鏡の費用効果分析
坂巻弘之
1
,
田尻久雄
2
,
井上幸恵
3
1東京理科大学経営学部・教授
2東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科/内視鏡科・主任教授
3クレコンメディカルアセスメント株式会社・ダイレクター
pp.746-756
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201502746
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大腸がん一次検診が陽性の成人を対象に,大腸用カプセル内視鏡(CCE)による精密検査実施の未実施に対する費用対効果を評価した。 分析対象は40~ 70歳の成人とし,大腸がんの自然史を反映したマルコフモデルを用いた生涯シミュレーションを実施した。アウトカム指標には質調整生存年(QALY)を用いた。分析は公的医療費支払者の立場で実施し,割引率は2%とした。 40歳,50歳,60歳,70歳の分析対象に対してCCEによる精密検査を実施した場合の未実施に対する削減費用と増分QALYは,それぞれ81万円,0.46QALY,98万円,0.45QALY,104万円,0.40QALY,81万円,0.23QALYと推計され,CCE検査の導入の費用対効果は未実施と比較し,優位であると評価された。 大腸がん一次検診陽性の40~ 70歳の成人に対するCCEによる精密検査の実施は,費用対効果の良い検診システムであると評価された。