外科医のための臨床MEの知識・3
Swan-Ganzカテーテルの患者管理への応用とその問題点
横手 祐二
1
1埼玉医科大学第1外科
pp.1111-1114
発行日 1981年7月20日
Published Date 1981/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207754
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はじめに
中心静脈圧(CVP)モニターは,今日一般外科領域でも広く用いられ,輸液方針の決定をはじめとして,術前後の循環動態の管理上,きわめて有用である.しかし,特殊な状況下,たとえば,熱傷や重症感染症など循環動態のきわめて不安定な患者や,心筋梗塞をはじめとする,左心不全を呈する心疾患の合併する患者,あるいは高齢者における開胸・開腹時などには,循環動態のモニターとしては,左心系の圧により近似する肺動脈楔入圧や,肺動脈圧の測定が重要であることは,良く知られている1).また最近では,全身の循環状態維持のためには,末梢の動脈圧のみを保つことよりは,むしろ,心拍出量の維持が大切であることが認められ,時には,末梢の血管抵抗をさげて,すなわち,末梢動脈圧を犠牲にしてすら,心拍出量を維持しようとする治療が行なわれる.このような意味で,経時的に心拍出量を測定して,循環動態管理に用いる機会が増えてきている.
Swan-Ganzカテーテルは,末梢の静脈から肺動脈へ比較的容易に挿入でき,左心系の圧を反映する肺動脈楔入圧や肺動脈平均圧を随時測定できる.しかも,熱稀釈法を用いた心拍出量(Cardiac Output CO)を同時に測定でき,この応用は一般外科領域でも,しだいにひろがりつつある2-4).
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