特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
9.水・電解質異常
低・高ナトリウム血症
井上 武明
1
,
冨田 公夫
1
Takeaki INOUE
1
1熊本大学医学部第3内科
pp.517-519
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903938
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はじめに
ナトリウム(Na)は細胞外液中の主な陽イオンであり,血漿Na濃度の2倍が血漿浸透圧にほぼ等しい.正常ではこの浸透圧は渇中枢の刺激および下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(ADH)分泌を介して厳密に調整されている.たとえば,高張食塩液を負荷して血中Na濃度が増加した場合,直ちに渇中枢が刺激されて飲水が増加するとともに浸透圧受容体を介してADHが分泌され,腎臓集合尿細管における水再吸収が増加して浸透圧が元に戻る.一方,低張液を投与した場合は全く逆の反応が起こって,飲水が制限されるとともに希釈尿が排泄される.したがって,血中Na濃度の異常にはこの調節機構の何らかの障害が関与する.
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