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第 I 部 医療イノベーションと新薬創出
2.医療イノベーションと日本の医療
~国際比較から見た日本の医療の特徴~
尾形裕也
1
1九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻(専門職大学院)・教授
pp.225-230
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313225
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日本の医療の特徴を国際比較の観点から整理すると,「資本集約的」な医療サービスの提供と概括できる。こうした提供体制の下で,比較的低い医療費支出と世界トップレベルの健康水準を達成してきたが,当該方式は限界にきており,高齢者の社会的入院や「医療崩壊」といった問題の基本的な要因となっている。医療・介護提供体制の改革ビジョンにおいては,「労働集約的」な提供体制へ転換しようとしているが,そのことは費用の増大をもたらす可能性が高い。今後の医療におけるイノベーションについても,これまで以上に効率性や効果が厳しく求められる。費用節約的な技術進歩,高齢社会にふさわしい患者のQOL(quality of life)を重視した治療法の開発,さらには,真に「画期的」といえるイノベーションへの期待は大きい。