特集 骨粗鬆症治療の新展開
3.わが国における高齢者の大腿骨近位部骨折の現状と医療者の役割
萩野浩
1
1鳥取大学医学部保健学科・教授/附属病院リハビリテーション部・部長
pp.867-871
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201303867
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骨脆弱化により発生する骨折の中でも,大腿骨近位部骨折はその患者数が多く,社会的にも重要な骨折である。その発生率は70歳以降で指数関数的に上昇する。欧米では発生率の低下が観察されているが,わが国では経年的に発生率が上昇していると報告されている。わが国の年間発生数は2012年に約19万人であったと推計され,20年後には約30万人に達するとされる。本骨折受傷後1年での自立歩行不能者は40%以上で,生存率は80~ 90%である。脆弱性骨折例を対象とした,多職種による骨粗鬆症治療の取り組み(リエゾンサービス)は,治療効率が良く費用対効果にも優れることから,大腿骨近位部骨折予防のための新たな突破口となるものと期待されている。