特集 最新の免疫学 ~自然免疫・獲得免疫~
2.自然免疫系を標的とした炎症性腸疾患の制御
梅本英司
1
,
香山尚子
1
,
竹田潔
2
1大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学講座 免疫制御学教室 准教授
2大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学講座 免疫制御学教室 教授
pp.659-664
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201302079
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欧米諸国で高い発症率を示す炎症性腸疾患は,日本でも患者数の急増および発症年齢の若年齢化が大きな問題となっている難治性疾患である。常在細菌や食餌抗原などの刺激に絶えず曝露される腸管の粘膜固有層には,種々のミエロイド系細胞集団が存在する。腸管組織の恒常性は,これらの細胞がT細胞などエフェクター細胞を正または負に制御することで維持されている。近年,腸管に存在する自然免疫系細胞における免疫応答の異常が,炎症性腸疾患の発症に深く関与することが明らかになっている。本稿では,代表的なミエロイド系自然免疫細胞による免疫応答と腸炎発症の制御機構について概説する。