特集 アレルギー疾患治療の最前線
7.経口免疫寛容剤(スギ抗原〔Cryj 1〕- ガラクトマンナン複合体)を用いた減感作治療
村上大輔
1
1済生会福岡総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科・部長/九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学分野・特別教員
pp.105-110
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201301105
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花粉症に対する皮下免疫療法は,唯一根治を期待できる治療法である。しかしながら,頻回に注射が必要なことや重篤な有害事象が起こる可能性があるため,より侵襲が少なく,利便性が良く,安全な減感作治療法が期待されてきた。スギ抗原-ガラクトマンナン複合体は,わが国で新しく開発されたスギ花粉症に対する経口免疫寛容剤で,簡便で早期に比較的安全に減感作を誘導できるため,花粉症に対する治療の一つの選択肢になり得ると考えられる。この技術はスギ花粉症だけでなく,他の花粉症や通年性アレルギー,食物アレルギーに対する減感作治療にも応用可能で,今後の発展が期待される。