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スギ花粉症の疫学
竹中 洋
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.91-95
発行日 1999年2月20日
Published Date 1999/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901925
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はじめに
スギ花粉症の増加が指摘されて久しい。また,増加の原因について花粉飛散の増加や大気汚染の影響,寄生虫疾患の減少などが挙げられている。しかし,わが国におけるスギ花粉症の罹患率についての正確な報告はなされていない。これは花粉症の症状発現が当該する花粉飛散量に大きく依存しているためであり,年や地域によって大きく有症状者の数が変わることにある1〜2)。
医療機関受診者の臨床統計も多く存在する3〜5)。これらは医療機関の性格や専門性を強く反映したものであることや,花粉症が複数診療科で治療される可能性が大きいことを考慮すれば,花粉症のおおよその傾向をみることしかできない。特にOTC薬を用いている症例は結果的に対象とされていないことになる。一方,職域や地域住民を対象にした調査研究も,調査方法や花粉症の判定基準が異なること,経年的調査がなされていないことから相互の比較は困難である。
このような現状を認識して,筆者らは1994年から京都府W町において,全学童と中学生を対象とした,自記式問診票と耳鼻咽喉科検診および血清アレルギー性検査(CAP-RAST法)を組み入れた経年的疫学調査を行っている。予定の10年の半ばを過ぎた1998年の時点におけるスギ花粉症の疫学調査について,文献的考察を行ったので報告する。
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