特集 軟部組織の石灰化─ 血管と心臓弁
7.酸化ストレスと血管石灰化
山田 俊輔
1
,
荒瀬 北斗
2
,
中野 敏昭
1
1九州大学病院腎・高血圧・脳血管内科
2九州大学大学院病態機能内科学
キーワード:
慢性腎臓病
,
酸化ストレス
,
血管石灰化
Keyword:
慢性腎臓病
,
酸化ストレス
,
血管石灰化
pp.297-304
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000238
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血管石灰化はCKD 患者の生命予後を規定する重要な合併症である.CKD 患者では動脈の内膜と中膜の石灰化を高頻度に合併する.血管石灰化はCKD で観察されるさまざまな病態によって促進され,なかでも酸化ストレスは内膜と中膜の石灰化のいずれも促進することが示されている.酸化ストレスは血管石灰化の進展に重要な,血管平滑筋細胞の形質変化とアポトーシス,エラスチンの断片化,基質小胞の生成・分泌などさまざまな経路を促進する.基礎研究に限れば,抗酸化薬が血管石灰化の進展を抑制することが実証されている.今後,抗酸化薬および抗酸化作用を有する薬剤が血管石灰化を予防し,生命予後を改善させるかどうかについて臨床知見を積み上げる必要がある.
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