特集 腎疾患領域のゲノム医療と新規治療ターゲット
企画に当たって─ゲノム医療は腎臓病診療に新規治療をもたらすか?
内田 信一
1
1東京医科歯科大学腎臓内科学
キーワード:
慢性腎臓病
,
ゲノム医療
,
次世代シークエンサー
,
プレシジョンメディシン
Keyword:
慢性腎臓病
,
ゲノム医療
,
次世代シークエンサー
,
プレシジョンメディシン
pp.7-8
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000092
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ゲノム医療の定義というものがあるかどうかはっきりしないが,少なくとも患者のゲノム情報をもとに治療戦略が組み立てられる医療だとはいえると思う.ゲノム情報は究極の個人情報であることから,個別化医療つまりpersonalizedmedicine ということとなる.現在の一番のトピックは,癌ゲノムであり,癌細胞に見つかった変異に応じて効果のある薬剤を使うことで,治療成績が向上し副作用が軽減できるというメリットがある.一方,この流れがどんどん進むと,医療費の面では,効かない薬を使わなくてすむというメリットはあるとされるが,トータルとして見れば医療費を押し上げる方向に向かうと思われ,このゲノム医療を癌以外の領域にまで進める際に問題となるのがコストの問題である.そこで2015 年米国でオバマ大統領(当時)が掲げたプレシジョンメディシン(精密医療)では,個別化医療ではあるが,個人というよりはある一定の病気にかかりやすい集団を特定し,その集団ごとに治療法や疾病予防を行うというコンセプトであり,富裕層だけがゲノム医療の恩恵を享受するのではないシステムを目指したといわれている.
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