発行日 2015年11月20日
Published Date 2015/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016057118
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は70歳代,女性,全大腸内視鏡検査施行で盲腸に約20mmの病変を指摘された.肉眼形態は二段隆起と高い隆起部に段差を伴う陥凹を有するIIa+IIc病変であった.丈の低い隆起部は粘液付着が顕著であり,拡大観察では典型的な開II型pitを認めた.丈の高い隆起部辺縁は開II型様に類似するも管状様にもとれるpitであった.丈の高い隆起部中央の陥凹部周囲には管状様構造に歪さが目立つVI型pitを認め,陥凹内は一見無構造様だが角度によっては細かく密度の高い構造がわずかに感じられた.SSA/Pが基盤となり,cytological dysplasiaを経て,癌化した病変と考えられた.また陥凹部については病変の部位,成り立ちを加味し髄様癌の可能性を考えた.深達度は陥凹部でT1b(SM massive)の浸潤を疑ったが患者背景を考慮し,EMRを施行した.病理結果はCarcinoma in SSA/P,Cancer:well to poorly differentiated adenocarcinoma(por1,medullary carcinoma),T1b(2,500μm),ly0,v0であった.多彩な拡大内視鏡所見が組織分化度の相違までを反映したSSA/P癌化症例と考え,遺伝子解析結果も加え報告した.
Copyright © 2015, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.