鉄と骨代謝
各国のガイドラインから透析患者への鉄剤投与を考える
丸山 之雄
1
1東京慈恵会医科大学 内科学講座(腎臓・高血圧内科)
キーワード:
生物学的マーカー
,
Ferritins
,
Transferrin
,
血液透析
,
腎不全-慢性
,
造血剤
,
鉄
,
経口投与
,
基準値
,
診療ガイドライン
,
静脈内投与
,
貧血-腎性
Keyword:
Administration, Oral
,
Kidney Failure, Chronic
,
Hematinics
,
Renal Dialysis
,
Reference Values
,
Biomarkers
,
Transferrin
,
Practice Guidelines as Topic
,
Administration, Intravenous
,
Ferritins
,
Iron
pp.171-177
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2016329686
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透析患者において,貧血は死亡率や心血管系合併症発症率の増加,およびquality of life(QOL)低下に関連する.腎性貧血の主因はエリスロポエチン欠乏であり,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis-stimulating agent;ESA)が有効である.とくにESA投与後には鉄欠乏状態が惹起され,鉄剤投与が必要になることがある.透析患者の鉄動態は血清フェリチンとトランスフェリン飽和度(transferrin saturation;TSAT)で評価し,種々の各国ガイドラインがこれらの指標を用いて,さまざまな鉄剤投与基準を設定している.鉄剤投与には,感染症のリスク,酸化ストレスの亢進,動脈硬化といった有害事象があり,過度の投与は避けなければならない.われわれは,決してガイドライン通りでなく,個々の症例の特性によって,鉄剤投与を検討しなければならない.
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