発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017023470
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60代男。当科入院の4ヵ月前に他院で高血圧症、糖尿病、無症候性急性期脳梗塞、左総頸動脈閉塞、腕頭動脈狭窄、Leriche症候群と診断された。3ヵ月前から腎機能低下が進行し、精査加療目的で当科に入院となった。尿中β2MGの著明高値を認め、尿細管障害が疑われた。薬剤性障害の可能性を考え、それまで投与されていたリナグリプチンやイルベサルタンを中止した。入院第8病日に狭心症、心不全を発症し、ICU入室となった。尿量減少を認めたため第15病日からCHDFを開始し、その後IHDへ移行した。第16病日に冠動脈造影を行ったところ左前下行枝の慢性完全閉塞を認め、第23病日に経皮的冠動脈インターベンションを施行した。腎生検を行ったところ、動脈硬化を背景に一部コレステリン裂隙を伴う塞栓の形成を認め、腎障害の原因はCCEと考えられた。第39病日頃から変動する意識障害を認めた。第42病日に左上肢の麻痺を認め、頭部MRI検査により多発脳梗塞と診断した。数日前から好酸球の著明な上昇を認めており、また、左手に紫斑を認めたこと、血管内カテーテル操作後であることからCCEによるshower emboliを疑い、プレドニゾロン投与とLDLアフェレシスを行ったところ、意識障害・麻痺とも改善した。
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