透析膜update-生体適合性からみた評価法と特性
生体適合性材料の設計概念
田中 賢
1
,
小林 慎吾
,
村上 大樹
,
荒津 史裕
,
干場 隆志
,
福島 和樹
1九州大学先導物質化学研究所
キーワード:
血液透析
,
高分子物質
,
水
,
生体適合性
,
血液透析膜
Keyword:
Renal Dialysis
,
Macromolecular Substances
,
Water
pp.521-529
発行日 2016年5月10日
Published Date 2016/5/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016266951
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一般的な高分子材料に水を含ませると,運動性が高く自由に動き回る"自由水"と,高分子に強く結合する"不凍水"に分かれる.さらに,高分子材料の種類によっては,自由水と不凍水の中間の性質を示す"中間水"が出現する.本稿では,高分子に結合した水の構造・運動性の評価法および高分子中の水の状態,とりわけ中間水が,透析膜の性能発現に不可欠な生体適合性に与える影響について解説する.中間水は,高い分子運動性を有する高分子鎖に弱く束縛され,低温下でも分子運動性の高い水であり,高分子表面にも安定に存在することが示された.また,中間水は,天然高分子と生体適合性合成高分子に共通して観測されることがわかった.
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