高齢者の透析導入を再考する
高齢者バスキュラーアクセスの作製上の問題点・留意点
大久保 健太郎
1
,
佐藤 隆
,
唐仁原 全
1名古屋共立病院 バスキュラーアクセス治療センター
キーワード:
加齢
,
病的狭窄
,
血液透析
,
血管疾患
,
心不全
,
腎不全-慢性
,
人工血管移植
,
ブラッドアクセス
,
血管石灰化
Keyword:
Aging
,
Constriction, Pathologic
,
Heart Failure
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Vascular Diseases
,
Blood Vessel Prosthesis Implantation
,
Vascular Calcification
pp.55-62
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016137501
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高齢者にバスキュラーアクセス(VA)作製を行う場合に注意する点として,皮膚の菲薄化,心機能の低下,動静脈の荒廃,栄養状態や日常生活動作の悪化が挙げられる.穿刺のしやすさ,心臓や末梢循環への影響など合併症の少なさから,前腕橈側の自己血管内シャント(AVF)がもっとも理想的なVAである.橈骨動脈に高度な石灰化を伴っても軟化処置(硬化した血管壁を攝子で圧潰することで吻合を可能にする処置)を行うことで吻合が可能になる.それ以外の部位でのAVF作製や人工血管を用いたVA では欠点が増え,それらの欠点を最小限にする工夫が必要になる.とくに人工血管は,なるべく皮膚や心臓に負荷をかけず,穿刺や修復が行いやすいデザインが要求される.必要最低限の血流が安定して流れ続けるシャント作製を心がけ,高度な末梢動脈疾患や心不全を合併している場合は非シャント性のVAを考慮する.
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