高齢者の透析導入を再考する
高齢を生きるための複数の視点
清水 哲郎
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1東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター 上廣講座
キーワード:
血液透析
,
腎不全-慢性
,
長寿
,
高齢者保健医療サービス
,
社会的支援
,
患者-家族関係
,
人生
Keyword:
Health Services for the Aged
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Longevity
,
Social Support
pp.7-14
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016137495
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高齢者における透析導入等の意思決定プロセスにおいて,複数の視点が並存する状況に注目して次の諸点を考察する.(1) 医療の役割は<人生>の展開を目指して<生命>を整えることであり,無条件に<生命>を維持することがよいわけではない.(2) 人には皆で協働して生きようとする姿勢<皆一緒>と,別々に生きようとする姿勢<人それぞれ>が並存しており,各人は相手との関係に応じて両姿勢をブレンドしつつ対応している.家族内では<皆一緒>が支配的であることに由来して,<自分>の場合と<家族>の場合とで一見矛盾する言動が結果する.(3) 必要に応じて社会的ケアを受けることが推奨されるが,際限なくケアを受けてよいわけでなく,<各人の最善>と<社会資源の総量>とを併せ考える必要がある.
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