発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013195833
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71歳女。66歳より高血圧、68歳より慢性B型肝炎の治療中にレイノー症状を認め、手指の腫脹と発赤が増悪したため紹介となった。呼吸器内科にてシェーグレン症候群(SjS)と診断され、治療中に急激な腎機能低下および胸水貯留を認め急性腎障害で当科に紹介受診となった。血清Crの急上昇、尿潜血(3+)、尿蛋白(2+)で、臨床的に急速進行性腎炎症候群と診断し、緊急透析で腹水と呼吸困難は徐々に改善した。入院時に強皮症(SSC)を疑ったが皮膚生検ではSSCを示唆する所見は得られず、SSC診断項目の抗セントロメア抗体の測定を追加したところ、92.7と陽性でSSCと確定診断された。腎障害の鑑別結果は臨床的にSRCと判断した。治療はアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とカルシウム(Ca)チャネル拮抗薬の投与により、症状は徐々に改善した。肝硬変による門脈圧亢進性胃炎から上部消化管出血はアルゴンプラズマ凝固で焼灼止血し、門脈圧亢進症に対してはβ受容体拮抗薬を開始した。内服治療と血液透析により症状は改善し、退院となった。現在、近医にて維持透析を継続している。
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