発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013195834
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78歳女。70歳より糖尿病性腎症で血液透析を導入し、維持血液透析中に嘔吐および振戦を認め意識障害で緊急入院となった。全身性浮腫と腹水貯留およびJCS I-2の低下と軽度の羽ばたき振戦を認め、血清アルブミン値の低下、総ビリルビン値の上昇、プロトロンビン時間(PT)延長、血小板の低下およびアンモニアの高値を認めた。頸部MRIでは、深部白質の点状高信号域を認めたが器質的変化は認めず、アンモニア高値より意識障害と振戦の原因を肝性脳症と診断された。腹部超音波では脾腎間血管の拡張像を認め、腹部造影CTでは脾周囲に蛇行する最大径15mmの脾静脈を認め、左腎静脈に流入していた。これより高アンモニア血症の原因は脾静脈-左腎静脈短絡によるものと考えられた。肝硬変の診断は超音波および腹部CTで典型像に乏しく門脈体循環性障害(portal-systemic encephalopathy)の原因である脾腎シャントの発生機序としての肝硬変は不明であった。治療としてラクツロース内服、連日の分枝鎖アミノ酸製剤投与などにより血清アンモニア値の低下、意識障害および振戦の改善を認め、第13病日に退院となった。
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