特集 消化器がん薬物療法
第2部 消化器領域の希少がんに対する化学療法 3章 小腸癌
廣瀬 俊晴
1
1国立がん研究センター中央病院消化管内科
キーワード:
小腸腺癌
,
化学療法
,
術後補助化学療法
,
分子標的療法
,
免疫チェックポイント阻害薬
Keyword:
小腸腺癌
,
化学療法
,
術後補助化学療法
,
分子標的療法
,
免疫チェックポイント阻害薬
pp.1193-1200
発行日 2024年8月9日
Published Date 2024/8/9
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003176
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小腸腺癌は,ファーター乳頭部癌を除く十二指腸原発腺癌,空腸原発腺癌,回腸原発腺癌のいずれかと定義される(以下「小腸腺癌」は上記3疾患の総称として用いる).小腸腺癌は全悪性腫瘍のうちの0.5%以下,全消化管悪性腫瘍のうちでも約3%の非常にまれな疾患群である.欧米諸国における小腸腺癌の年間発症率は10万人当り1~3.5人とされ,2018年の米国における罹患者数は10,470人と報告されている.その発症数は増加してきており,とくに十二指腸原発腺癌が増加傾向にあるとされる.小腸腺癌は,先進国・高齢者・男性・そしてAfro-Caribbean系の人種における発症が多いとされる.そのリスク因子の最も重要なものとしては,クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患があげられる.その他のリスク因子としてはセリアック病などの消化管吸収障害,家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP),ポイツイェガース症候群,リンチ症候群(hereditary non-polyposis colorectal cancer;HNPCC)などの遺伝性疾患,囊胞性線維症,赤身肉/食塩/飽和脂肪酸の摂取,喫煙,肥満などが知られている.
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