特集 非乳頭部十二指腸腺腫・癌の診療方針
6.非乳頭部十二指腸腺腫は治療すべきか―経過観察例からの考察
鈴木 啓太
1,2
,
池之山 洋平
1
,
吉水 祥一
1
,
藤崎 順子
1
1がん研有明病院消化器内科
2東邦大学医療センター大森病院消化器内科
キーワード:
十二指腸腺腫
,
治療適応
,
経過観察
Keyword:
十二指腸腺腫
,
治療適応
,
経過観察
pp.1505-1513
発行日 2023年10月20日
Published Date 2023/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002838
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非乳頭部十二指腸腺腫は低頻度ながら近年発見率が上昇しており,治療機会が増加している.高異型度腺腫は悪性化リスクが高いため積極的な切除が推奨されるが,小さい低異型度腺腫は悪性化リスクが低く,治療に伴うリスクとベネフィットの観点から経過観察も選択肢になりうる.筆者らは,低異型度腺腫を対象として,治療すべき病変と経過観察が可能な病変の臨床病理学的特徴を明らかにすべく,当院で6カ月以上の経過観察が可能であった125症例125病変の検討を行った.分析結果から,腫瘍サイズ5 mm未満の低異型度腺腫は,腫瘍所見(腫瘍サイズ増大and/or組織学的異型度)の増悪リスクが非常に低く,無治療経過観察も推奨される.腫瘍サイズ5~9 mm,腫瘍サイズ10~19 mmかつ主乳頭肛門側の病変は,基本的には切除が望ましいが,増悪リスクは比較的低く,内視鏡による定期的な経過観察も選択肢となりうる.腫瘍サイズ10~19 mmかつ主乳頭口側,腫瘍サイズ20 mm以上の病変は,高異型度腺腫/癌への増悪リスクが高く,早期治療が推奨される結果となった.今後もさらなる症例の蓄積を行い,十二指腸腺腫の自然史や長期経過を明らかにすることが重要と考える.
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