特集 Common disease となった潰瘍性大腸炎の現状と診療のコツ
私の視点(2)潰瘍性大腸炎の基本治療
加藤 順
1,2
1千葉大学消化器内科
2千葉大学医学部附属病院内視鏡センター
pp.776-778
発行日 2022年6月20日
Published Date 2022/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002247
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安富論文(p.759)にあるとおり,メサラジン製剤で効果不十分の場合,SASPに変更すると有効な症例はしばしばみられる.SASPにおけるメサラジン含有量は多くないのに,なぜSASPに変更するとよくなる症例があるのだろうか? これに関しては,SASPがそもそもリウマチの治療薬であることと関連すると考えられる.SASPがなぜリウマチに対して有効なのか? UCへの作用機序として喧伝されている,SASPのアゾ結合が腸内細菌により分解され5-ASAが産生される,というものだけではリウマチに対する有効性は説明できない.実は,SASPは分解されないSASPのまま一部が小腸で吸収され,その吸収されたSASPに免疫抑制作用があることがわかっている.すなわち,UCに対しては,5-ASAの大腸粘膜への直接作用に加えて,SASP自体の免疫抑制作用が働いていると考えられるのである.
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