特集 胆石症の診療方針
1.胆石の成因と機序
大屋 敏秀
1
1中国労災病院消化器内科
キーワード:
胆囊結石
,
総胆管結石
,
肝内結石
Keyword:
胆囊結石
,
総胆管結石
,
肝内結石
pp.487-492
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002173
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胆石症とは,胆囊,総胆管,肝内胆管において,胆汁成分が析出・凝集して形成され,発生部位により胆囊結石,総胆管結石,肝内結石と称される.胆石は,構成成分からコレステロール石と色素石に分類され,形成の成因は異なる.コレステロール石は,コレステロール過飽和胆汁の生成に伴い発生する.過飽和胆汁は,5 F (fatty,female,over-forty,fertile,fair)に代表される多くの因子の影響を受けて出現する.一方,色素石は胆道系の炎症の影響を受けてビリルビンの溶存形態の変化に伴い発生する.胆石の臨床的な病態は,胆汁の流出障害に起因する.胆囊結石は,胆石発作と称される疼痛や胆囊炎の原因となる.総胆管結石は,総胆管において嵌頓すると閉塞性黄疸となり急性胆管炎,菌血症,DICの合併の原因となる.肝内結石は,嵌頓部位より末梢の胆汁流出を阻害し,肝実質の萎縮や発癌の母地となる危険性を含んでいる.胆石は,無症状の症例から致死的な状態まで,さまざまな病態を呈しうる疾患であり,積極的な結石除去あるいは経過観察など治療方針を明確にすることが重要である.
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