特集 Cold polypectomyの課題
4.症例からみえた課題(4)家族性大腸腺腫症の腸管温存に対するcold snare polypectomyの治療戦略
安江 千尋
1
,
千野 晶子
1
,
石岡 充彬
1
,
井出 大資
1
,
五十嵐 正広
1
,
斎藤 彰一
1
1がん研有明病院下部消化管内科
キーワード:
家族性大腸腺腫症(FAP)
,
コールドスネアポリペクトミー(CSP)
,
内視鏡治療
,
消化管ポリポーシス
Keyword:
家族性大腸腺腫症(FAP)
,
コールドスネアポリペクトミー(CSP)
,
内視鏡治療
,
消化管ポリポーシス
pp.108-112
発行日 2021年12月20日
Published Date 2021/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002068
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家族性大腸腺腫症(FAP)における大腸癌発癌の浸透率は100%とされており,治療の第一選択は予防的大腸全摘術である.大腸癌未発症例で内視鏡治療による経過観察を希望する症例に対し,手術時期を遅らせる目的で,可能なかぎり大腸腺腫性ポリープを切除し厳重に追跡している症例が存在する.近年,cold snare polypectomy(CSP)の安全性と簡便性が報告されてから,非がん組織の摘除に対して広く用いられるようになり,FAPの定期的な外来治療においてはとくに有用と考える.本稿では,当院においてCSPを主体とする内視鏡治療の現状について紹介する.FAPに対する大腸癌予防のための内視鏡介入について,多施設共同研究での長期予後の報告が待たれるところであり,対象ステージや治療ストラテジーが確立されれば患者にとってメリットのある新たな治療選択となりうる.
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