特集 内視鏡検査で胃癌見落としゼロを目指して
1 .総論(2)胃癌を見落とさないために a.早期胃癌の内視鏡診断ガイドラインにおけるポイント
井上 貴裕
1
,
上堂 文也
1
1大阪国際がんセンター消化管内科
キーワード:
早期胃癌
,
スクリーニング
,
ピロリ菌
Keyword:
早期胃癌
,
スクリーニング
,
ピロリ菌
pp.1250-1258
発行日 2021年8月20日
Published Date 2021/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001934
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胃癌による死亡率の改善のためには早期治療が重要であり,内視鏡検査による早期発見が望まれる.2019年に発表された「早期胃癌の内視鏡診断ガイドライン」では早期胃癌発見のための指針が示されており,今回当院での実情を踏まえつつ内視鏡医が留意すべきポイントや,もつべき心構えについて言及した.内視鏡検査のための適切な前処置は,患者の苦痛や内視鏡医のストレスを軽減することで質の高い検査の実施に寄与する.胃内の内視鏡観察に際しては胃癌発生に関するリスク因子をよく理解し,症例によって観察のメリハリをつけることが肝要である.撮影部位と撮影順序をあらかじめ決めたうえでの系統的な観察が望ましく,とくに見逃されやすい病変・部位を意識して観察を行うべきである.早期胃癌を一つ発見した場合は同時性多発胃癌が10%程度の症例にみられることを念頭におき,引き続いて他病変の検索も詳細に行う.以上が,早期胃癌を効率よく拾い上げるためのポイントであると考えられる.
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