特集 リンチ症候群と遺伝性消化管ポリポーシス
2.遺伝性消化管ポリポーシス(2)家族性大腸腺腫症の臨床―外科的立場から
山口 達郎
1
1がん・感染症センター都立駒込病院外科・遺伝子診療科
キーワード:
家族性大腸腺腫症
,
APC 遺伝子
,
大腸癌
,
デスモイド腫瘍
,
十二指腸癌
Keyword:
家族性大腸腺腫症
,
APC 遺伝子
,
大腸癌
,
デスモイド腫瘍
,
十二指腸癌
pp.612-618
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000756
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家族性大腸腺腫症(FAP)は,APC 遺伝子の生殖細胞系列の病的変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患である.遺伝学的検査は治療方針決定やサーベイランスに有用と考えられる.予防的大腸切除術は,一般的に20 歳代で受けることが多く,大腸全摘術+回腸囊肛門吻合術が標準治療であるが,結腸全摘術+回腸直腸吻合術も腺腫の少ない患者では選択肢となりうる.デスモイド腫瘍は,手術後の再発も多いため,手術適応は慎重に考慮すべきである.十二指腸癌には,(幽門輪温存)膵頭十二指腸切除術が行われるが,予防的切除術の場合は膵温存十二指腸切除術も選択肢となる.FAP患者の診療に当たっては遺伝学的背景を考慮する必要がある.
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