特集 リンチ症候群と遺伝性消化管ポリポーシス
1.総論(2)癌の遺伝カウンセリング
新井 正美
1
1順天堂大学大学院医学研究科難治性疾患診断・治療学
キーワード:
遺伝カウンセリング
,
遺伝性腫瘍
,
コンパニオン診断(CDx)
,
マイクロサテライト不安定性検査
,
リンチ症候群
Keyword:
遺伝カウンセリング
,
遺伝性腫瘍
,
コンパニオン診断(CDx)
,
マイクロサテライト不安定性検査
,
リンチ症候群
pp.596-605
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000754
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遺伝性腫瘍では,個々の癌には治療法や検診,リスク低減手術などの対策がある場合が多く,現在では遺伝学的検査を積極的に日常診療に活用する傾向にある.代表的な遺伝性腫瘍であるリンチ症候群では,臨床情報から疑い症例を拾い上げて,MSI 検査等のスクリーニング検査を実施して,最終的に遺伝学的検査を実施する.このプロセスは従来の古典的な癌の遺伝カウンセリングのなかで行われる.一方で,PD‒1 抗体薬のコンパニオン診断(companion diagnostics;CDx)としてMSI 検査が診療科で実施され,さらに癌ゲノム医療が始まるなかで,本来の目的ではないが,二次的にリンチ症候群と診断されることが起こりうる.このような状況から引き継いで行う新しいタイプの癌の遺伝カウンセリングでは,遺伝性腫瘍の可能性を指摘された進行再発癌患者が受診する.これらの検査では,遺伝性腫瘍が診断される場合があることを事前に説明して,もし変異が見つかった場合の対応についてあらかじめ検討しておくことが重要である.さらに新しいタイプの癌の遺伝カウンセリングでは,本人の治療だけではなく,その遺伝情報を血縁者で共有し彼らの健康管理に繫げる配慮も重要である.
Copyright © 2019, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.