連載 内視鏡の読み方
転移性胃腫瘍―乳癌
吉水 祥一
1
,
藤崎 順子
1
1がん研有明病院消化器内科
キーワード:
転移性胃腫瘍
,
乳癌
,
4型進行胃癌
,
粘膜下腫瘍
Keyword:
転移性胃腫瘍
,
乳癌
,
4型進行胃癌
,
粘膜下腫瘍
pp.112-118
発行日 2018年12月20日
Published Date 2018/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000628
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本邦での悪性腫瘍剖検例において,固形癌の胃転移の頻度は2.3〜5.4%と報告されている.しかしながら,転移性胃腫瘍が生前に診断されることは少ない1),2).その理由としては,胃が管腔の比較的広い臓器であり閉塞症状が認められにくいことや,食欲低下や上腹部不快感などの自覚症状が,原発癌に対する化学療法による副作用と診断される場合が多いためと考えられる.近年,各種悪性腫瘍の治療法が進歩し長期生存患者が増加していることを考慮すると,今後転移性胃腫瘍に遭遇する頻度が高くなると思われる.転移性胃腫瘍は,乳癌,悪性黒色腫,肺癌,食道癌からの転移が多いとされるが,日常診療において乳癌胃転移を経験することはまれである3).その一方で,乳癌胃転移は原発性胃癌と内視鏡的に鑑別が難しいことがあり,病理組織学的にも診断が難しい.原発性胃癌と乳癌胃転移では治療方針がまったく異なるため,乳癌胃転移を正しく診断することは非常に重要である.今回は本症を取り上げ,内視鏡を中心とした診断の要点について述べる.
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