特集 消化器病漢方治療―理論と実践
3 .理論:漢方薬作用機序の科学的解明 (4)潤腸湯/麻子仁丸
沼田 朋大
1
,
井上 隆司
1
1福岡大学医学部生理学講座
キーワード:
便秘
,
硬便
,
CFTR
,
消化管上皮細胞
,
漢方薬
Keyword:
便秘
,
硬便
,
CFTR
,
消化管上皮細胞
,
漢方薬
pp.1371-1376
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000529
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便秘は日常生活に大きなストレスをもたらす.便秘の症状を緩和するためにいくつかの作用機序の異なる薬物が使用されているが,漢方薬をはじめそれらの分子作用基盤はよく理解されていないことが多い.最近,慢性便秘漢方薬である潤腸湯/麻子仁丸の効果機序が分子生理学的手法を用いた機能解析によって明らかにされた.興味深いことに潤腸湯の投与は,細胞内cAMP上昇によってCFTRチャネルの活性化を介したクロライドイオン流出を誘発し,腸管内への水分泌を促進することが明らかとなった.本稿では,この話題を中心に,類似の作用機序を有し,近年新しい範疇の緩下剤として注目されている小腸刺激性下剤,ルビプロストンについても議論したい.
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