膵癌update
Ⅱ 診断 ①診断の手順
本定 三季
1
,
祖父尼 淳
1
,
土屋 貴愛
1
,
鎌田 健太郎
1
,
田中 麗奈
1
,
糸井 隆夫
1
1東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野
キーワード:
膵癌診療ガイドライン
,
造影CT
,
リスクファクター
,
通常型膵癌
,
浸潤性膵管癌
Keyword:
膵癌診療ガイドライン
,
造影CT
,
リスクファクター
,
通常型膵癌
,
浸潤性膵管癌
pp.756-760
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000386
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膵癌は加齢とともに増加し,40歳代から急に増え始め,60~70歳代が罹患年齢のピークとなっている.膵癌の年別罹患者数は2009年に3万人を超え,高齢化の影響もありそれ以降も増加の一途をたどっている.
また,本邦における癌の死因の第4位であり,男性では5位,2016年は女性でついに胃癌を抜いて第3位となっている.2016年における膵悪性新生物による死亡者数は33,475人(男性17,060人,女性16,415人)と悪性新生物による全死亡者数384,460人の8.7%を占めていた.このとおり,膵癌は罹患者数と死亡者数がほぼ同等であり,国立がん研究センターから発表された臓器部位別がん5年相対生存率では男性が7.9%,女性が7.5%とともに全癌腫のなかで最低であった.この厳しい予後の一因として,膵癌は診断の時点で約6割が切除不能進行癌であり早期発見が非常に困難である現状が挙げられる.
治療成績を向上させるためには,腫瘍を早期に発見・診断することが必須である.昨今では,画像診断における検査装置や撮像法の向上により,存在診断,質的診断,進展度診断の精度が飛躍的に向上している.臨床徴候や膵癌危険因子の有無を評価して膵癌高リスク群を抽出し,各種画像検査を適切に用いることでより効率的な診断ができてくると思われる.さらに膵癌においては病変の進展範囲を正確に診断することが,resectabilityの決定と術式立案のために重要である.膵の悪性腫瘍のうち,組織学的に通常型膵癌が約9割を占めることから本稿では一般的な通常型膵癌の診断手順について概説する.
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