膵癌update
Ⅰ 疫学・基礎 ⑩分子診断の基礎研究
金井 雅史
1
1京都大学医学部附属病院腫瘍内科
キーワード:
CA19—9
,
予後予測
,
KRAS
,
リキッドバイオプシー
Keyword:
CA19—9
,
予後予測
,
KRAS
,
リキッドバイオプシー
pp.752-754
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000384
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現在,日常臨床で膵癌に対し用いられている分子診断としては腫瘍マーカーのCA19‒9やDUPAN‒2,さらにゲノム検査としてKRAS遺伝子検査が挙げられる.KRAS変異は膵癌の90%近くに認めることはよく知られているが,大腸癌や肺癌,乳癌など,他の固形がんでも高頻度に認められるため膵癌特異性は低く,2016年膵癌診療ガイドラインでも補助診断として位置づけられており,実際に日常臨床で用いられるケースも限られているのではないかと推測される.一方,CA19‒9が最初に報告されたのは1979年に遡るが,未だ膵癌においてCA19‒9を凌駕する分子マーカーは開発されておらず,現在も術後の予後予測や化学療法の治療効果予測における有用性についてさまざまな研究が行われている.
本稿ではCA19‒9の臨床的有用性を中心に,現在活発に研究が進められているがん細胞から放出された血中cellfreeDNA(cfDNA,遊離DNA)を利用したゲノム解析技術についても紹介する.
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