特集 慢性便秘―新たな分類と病態・診断・治療
巻頭言/慢性便秘診療― 新たな時代を迎えて
屋嘉比 康治
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科
pp.365-366
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000282
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今回,特集として「慢性便秘―新たな分類と病態・診断・治療」をテーマとした.その理由は,昨年2017 年秋,わが国では初めての成人のための「慢性便秘症診療ガイドライン」が発刊されたこと,さらにこの数年の間に新たなメカニズムによる便秘治療薬が開発され臨床の場に加わったことによって,慢性便秘診療が新たな時代を迎えたことである. 便秘は日常的に見かける症状の一つである.わが国における有病率は,平成28年厚生労働省の国民生活基礎調査では男性で2.5%,女性4.6%だが,そのほかにも全体で2~27%など,幅広い報告がある.しかし,重症例以外では便秘そのものによって重大な症状をきたすことは少ないので,治療は医療機関以外で,多くは市販薬や民間療法,あるいは健康食品などを用いて行われており,実際の有病率についてはさらに高い可能性がある.最適な治療を受けるためには,自覚症状や身体所見に対する診察以外にX 線検査や内視鏡検査,場合によっては大腸通過時間検査やバルーン排出検査など特殊検査を受けて正確な診断のもと,その病態に応じて治療を選択する必要がある.しかし最適な治療に巡り合わず難治となり,不快感が解決しないなどの治療困難例も認められる.今回の特集はガイドライン発刊を受けて新たなスタートをきった慢性便秘症診療が,スムースに日常臨床の場に浸透し,より多くの患者さんに対して最適な治療が行われることをサポートするために企画・構成されたものである.
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