特集 肥満と消化器
巻頭言
屋嘉比 康治
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科
pp.349-350
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000702
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肥満は今や地球規模の問題である.肥満は身体に負担となり日常生活に影響するばかりでなく,生命予後に重大な影響を生じるような疾患を誘発する不健康な状態である.肥満に関係する疾患としては動脈硬化を基盤とする心血管系疾患や,糖尿病,高脂血症,高血圧症などいわゆるメタボリック症候群が頭に浮かぶが,最近では,多くの臓器の悪性腫瘍,癌の発症が肥満により増加することも明らかにされている.消化器において肥満がその病態の発症や悪化に影響する疾患としてすぐに思いつくのは脂肪肝や胆石症,膵炎,逆流性食道炎などだが,最近の研究では消化器臓器の悪性腫瘍である大腸癌や,肝癌,胆囊癌,膵臓癌などの発症にも関与していることが示唆されている.すなわち良悪性を問わず多くの消化器疾患においても肥満の解消がその予防や治療に重要であることが明らかになってきた.今回の特集「肥満と消化器」は日常の消化器病臨床の場においても消化器医が肥満の合併意義を理解し,その解決に関わっていく役割を果たせるよう「肥満」を取り上げた次第である.
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