特集 ピロリ菌陰性者にみられる胃疾患の診かた― 胃癌を中心に
4 .H. pylori 未感染・既感染者の胃病理所見
塚本 徹哉
1
,
岡部 麻子
1
,
田原 沙佑美
1
,
中川 満
1
,
桐山 諭和
2
,
黒田 誠
1
1藤田保健衛生大学医学部病理診断科
2藤田保健衛生大学医学部病理診断科、成田記念病院病理診断科
キーワード:
Helicobacter pylori
,
慢性活動性胃炎
,
慢性萎縮性胃炎
,
腸上皮化生
,
除菌
Keyword:
Helicobacter pylori
,
慢性活動性胃炎
,
慢性萎縮性胃炎
,
腸上皮化生
,
除菌
pp.1451-1456
発行日 2017年9月20日
Published Date 2017/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000124
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Helicobacter pylori (H. pylori)除菌療法の拡がりとともに,その感染状況と慢性萎縮性胃炎および腸上皮化生の進展程度の把握が不可欠となってきている.未感染では胃腺管は整然と配列しているが,現感染では再生性に増生する腺窩上皮表層粘液内でH. pylori が観察され,種々の程度の固有腺の萎縮と腸上皮化生が観察される.間質には好中球浸潤やリンパ濾胞の形成がみられる.既感染除菌後では,腺窩上皮の増生は収束し間質は炎症が引いて浮腫状となるが,腸上皮化生は長期間持続する.内視鏡所見との整合性を保ちつつ,患者の適切な治療やリスク評価が行えるよう,的確な病理診断が必要である.
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