連載 検査値の読み方
肝硬変における糖代謝マーカー― 糖化アルブミンとヘモグロビンA1c
水田 敏彦
1
1伊万里有田共立病院内
キーワード:
肝硬変
,
糖化アルブミン(GA)
,
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
,
CLD‒HbA1c
,
GA/HbA1c 比
Keyword:
肝硬変
,
糖化アルブミン(GA)
,
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
,
CLD‒HbA1c
,
GA/HbA1c 比
pp.1178-1182
発行日 2017年6月20日
Published Date 2017/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000068
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はじめに肝臓は糖代謝の中心臓器であるので,さまざまな原因により肝障害が起こると肝細胞機能の低下や血行動態の変化などにより糖代謝異常が容易に生じうる.とくに慢性肝疾患の終末像である肝硬変においては,ほぼ全例に肝細胞の壊死,脱落による肝細胞数の減少や門脈大循環シャントが存在することから,なんらかの糖代謝異常が起こっている可能性が高い1).このような糖代謝異常はその後の肝発癌2)や睡眠障害などQOL 低下3)と関連することが知られていることから,肝硬変患者の日常診療において血糖状態を把握しておくことは患者の予後にとって重要である. しかし糖尿病患者の通常診療で用いられる平均血糖マーカーであるヘモグロビンA1c(HbA1c)や糖化アルブミン(GA)は,以下に述べる理由により単独では肝硬変においては必ずしも正確な血糖状態を反映しない.本稿ではこれらの血糖マーカーを利用して肝硬変における血糖状態をいかにして把握するか,また逆にこれらのマーカーから肝病態を推測しうるかについて述べることとする.
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