特集 透析患者のカリウム管理
4.血液透析患者の高カリウム血症への対策―血液透析が与える影響
倉賀野 隆裕
1
1 兵庫医科大学循環器・腎透析内科学
キーワード:
高カリウム血症
,
透析液中カリウム濃度
,
カリウム変動
Keyword:
高カリウム血症
,
透析液中カリウム濃度
,
カリウム変動
pp.1089-1093
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003536
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高カリウム(K)血症は透析患者の突然死に関わる重要な課題であり,厳重な管理が求められている.一方で透析患者の高齢化に伴い低栄養状態の患者が増加し,画一的なK制限の見直しが進んでいる.過度なK制限は栄養状態を悪化させる可能性があり,とくに植物性食事(plant-based diet)の有益性が注目されている.薬剤では,RAS阻害剤の使用が高K血症のリスク要因とされるが,心機能保護の観点から継続が議論されている.透析液のK濃度や重炭酸濃度も血清K値に影響し,急激なK変動が不整脈リスクを高める可能性がある.適切なK管理には,栄養状態を維持しつつ透析前後のK変動を抑えることが重要である.すなわち,個別化された食事指導,透析液の適切なK濃度,効果的なK吸着剤の使用が必要となる.

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