特集 長期透析の現況・課題と対策
1.透析歴50年の時代:透析患者の病態
乳原 善文
1
,
和田 健彦
1
,
澤 直樹
1
1虎の門病院腎センター
キーワード:
透析アミロイドーシス
,
CKD-MBD
,
アルミニウム骨症・脳症
,
手根管症候群
Keyword:
透析アミロイドーシス
,
CKD-MBD
,
アルミニウム骨症・脳症
,
手根管症候群
pp.351-357
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003363
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今から50年前までは腎不全は死を意味する悪性疾患とされ,癌以上に恐れられた疾患であった.日本では1963年,血中の尿毒症性物質の除去に加えて体液過剰となった水分を除去する透析療法が三村らにより腹膜還流法として開始された.1966年頃から血液透析が開発された.当初これらの透析療法の生命予後は良好でなかった.しかし,その後の透析技術の進歩はめざましく10年以上の生存が可能になると,次の課題は二次性副甲状腺機能亢進症,透析アミロイドーシス,アルミニウム骨症・脳症であった.透析アミロイドーシスはダイアライザの進歩によりβ2MGの除去がよくなり発症の時期が大幅に延長した.二次性副甲状腺機能亢進症は,リン吸着剤や活性型ビタミンD3製剤等の開発にて外科的な副甲状腺摘除術が減った.アルミニウム骨症・脳症は,水酸化アルミニウム製剤の中止と逆浸透圧装置の開発にて克服された.もはや透析患者も透析合併症に怯えることなく過ごせるようになった.

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