特集 透析医療を巡る臨床倫理の側面
4.慢性透析患者への基本的緩和ケアの実際
濱口 明彦
1
1東京慈恵会医科大学附属柏病院腎臓・高血圧内科,緩和ケアチーム
キーワード:
緩和ケア
,
全人的苦痛
,
呼吸困難
,
医療用麻薬
,
緩和照射
Keyword:
緩和ケア
,
全人的苦痛
,
呼吸困難
,
医療用麻薬
,
緩和照射
pp.1281-1287
発行日 2024年9月10日
Published Date 2024/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003147
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透析患者は身体的・心理社会的,スピリチュアルな内容を含んだ「全人的苦痛」にさらされており,緩和ケアの対象である.慢性透析患者に基本的緩和ケアを提供しているのは透析医・透析スタッフである.患者が保存的腎臓療法(CKM)を選択した場合に患者が経験する苦痛は腎不全に伴う症状であることが多いため,在宅医にすべて任せてしまうのではなく,腎臓内科医など専門家が間接的にでも関わり続けることが望ましい.これにより,患者が透析の見合わせの意思を撤回した場合にも迅速に透析を再開する対応が可能となる.一方,透析患者ががんに罹患して疼痛を訴えるなどの場合は透析の専門家は不得手であることが多いので,がん治療病院にいる緩和ケアの専門家と共同して治療にあたることが望まれる.
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