特集 透析施設における感染症対策 2023
第Ⅱ章 感染予防各論 3 肝炎ウイルス 3)HBワクチン
杉山 文
1
,
田中 純子
1
1広島大学大学院医系科学研究科疫学・疾病制御学
キーワード:
ウイルス肝炎排除(elimination)
,
肝炎ウイルス対策
,
有病率
,
HBワクチン
,
透析
Keyword:
ウイルス肝炎排除(elimination)
,
肝炎ウイルス対策
,
有病率
,
HBワクチン
,
透析
pp.829-837
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002624
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・HBワクチンの普及や,ウイルス排除が可能なHCV DAA治療薬の開発と普及により,WHOは2030年までのウイルス肝炎排除の目標を掲げており,日本はHCVについては目標達成可能な主要国の一つと考えられている.
・透析患者集団は肝炎ウイルス感染のハイリスク集団として,感染予防,定期的な検査,HCV DAA治療の推進が課題であり,また,医療従事者とともにHBワクチン接種も勧奨されている.
・透析患者におけるHBs抗原陽性率,HCV抗体陽性率は2000年以後経年的に低下している.定期的に行われている透析患者集団を対象とした全国調査結果から,2021年時点の当集団のHBs抗原陽性率は一般集団と同程度と報告された.
・HBワクチンは,接種後の経年とともにHBs抗体価が低下するが,一般集団においては,感染防御効果は少なくとも30年は続くと考えられている.
・透析患者については健常者とは免疫獲得効果が異なり,HBs抗体価が10 mIU/mLを下回った場合には感染防御能が維持できない可能性も指摘されており,長期間の観察研究に基づくエビデンスが必要である.
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