特集 CKD診療における漢方と補完代替療法
[コラム]漢方薬による腎障害
川越 宏文
1
1ちぐさ東洋クリニック
キーワード:
漢方薬
,
副作用
,
アリストロキア腎症
Keyword:
漢方薬
,
副作用
,
アリストロキア腎症
pp.643-644
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002163
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筆者は学生時代に漢方の講義を受けた記憶がない.医師3年目に地元の大学の腎研究室で透析を学び始めた頃,漢方は怪しい薬であった.しかし,透析患者の難治性空咳に奏効した麦門冬湯が筆者の認識を変えた.その後こむら返り,瘙痒感,不眠症等に用いた漢方薬は筆者の期待を大きく上回った.漢方の治療が面白くなり,医師7年目に東京女子医科大学附属東洋医学研究所へ転籍したのは27年前であった.当時と比べれば漢方の置かれている環境は大きく変化し,処方経験をもつ医師は増加した.2000年当時は医学部での漢方教育は25%であったが,文部省コアカリキュラムに漢方が取り上げられると全医学部に広がった.急速に漢方が臨床の現場で使用されると有害事象の発生,天然資源である生薬の枯渇や価格高騰を引き起こすことが懸念された.その回避のためには漢方薬の適正使用と有害事象の知識および早期発見は必須である.本稿では,いわゆる漢方薬腎症について略説し,その他の副作用とその予防についてまとめた.
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