特集 子どもと漢方―日常診療に役立つ考え方・使い方
5.漢方薬を子どもに使う際に注意すること
川原 央好
1
,
山本 美紀
1
,
奈良 啓悟
1
1浜松医科大学小児外科
キーワード:
漢方薬
,
副作用
,
麻黄
,
黄芩
Keyword:
漢方薬
,
副作用
,
麻黄
,
黄芩
pp.260-264
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001217
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漢方薬は中国に発する長い経験医学のなかで臨床結果に基づいて処方が作られてきた.漢方薬は複数の生薬の組み合わせによる多成分系薬剤で,生薬の総合的効果としてヒト生体に作用する.含有成分は西洋薬のように精製されておらず,消化ないしは腸内細菌による代謝を受けてから吸収されて効果を発するため,消化吸収能が未熟な小児における有効性や安全性が確立しているとはいえない.構成生薬としてよく使われる甘草による偽アルドステロン症,柴胡剤に含まれる黄芩による間質性肺炎や肝障害,麻黄による興奮や不眠のような副作用の理解は必要である.漢方薬を子どもに使う時には,証や症状からの東洋医学的仮説構築とともに,漢方薬の特徴を理解することが重要である.
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