ケース・スタディ
全身倦怠感と軽度の見当識障害を認め低血糖発作を呈した維持血液透析患者の1例
對馬 英雄
1
,
鮫島 謙一
1
,
加知 直樹
1
,
玉城 裕行
1
,
江里口 雅裕
1
,
鶴屋 和彦
1
1奈良県立医科大学腎臓内科学
キーワード:
食思不振
,
低血糖発作
,
透析患者
,
見当識障害
,
ACTH単独欠損症
Keyword:
食思不振
,
低血糖発作
,
透析患者
,
見当識障害
,
ACTH単独欠損症
pp.311-316
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002078
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症 例:60歳,男性 主 訴:全身倦怠感,見当識障害,食思不振 既往歴:31歳本態性高血圧症,42歳良性腎硬化症,55歳急性大動脈解離,60歳狭心症 家族歴:特記事項なし 生活歴:喫煙歴はなし,機会飲酒 現病歴:29年前(31歳)に高血圧を指摘され,近医を受診した.二次性高血圧は否定的で,本態性高血圧症と診断された.内服加療が開始されたが,1年間通院した後,自己中断した.19年前(41歳)に健康診断で腎機能障害〔血清クレアチニン値(Scr)1.92 mg/dL,推算糸球体濾過量(eGFR)31.3 mL/min/1.73 m2〕および検尿異常(尿蛋白量0.61 g/gCr,尿潜血陰性)を指摘され,当科を受診した.腎生検では動脈壁の肥厚を主体とした糸球体硬化像が散見されたが蛍光抗体法では免疫グロブリンや補体の沈着は認められず,良性腎硬化症と診断された.以後は当科へ通院し,降圧療法を中心に治療が開始された.その後徐々に腎機能は増悪し,10年前(50歳)に腹膜透析を導入された.5年前(55歳)に腹膜炎を発症し,除水不良が出現したため血液透析に移行した.1カ月前に全身倦怠感と軽度の見当識障害が出現し改善しなかったため,3日前に当科に紹介され,入院した.
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