発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015093951
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症例は55歳男で、1ヵ月前より微熱と食欲不振が出現し、次第に増悪して立ちくらみや体重減少も生じた。検査所見で頻脈があり、甲状腺中毒症を認めた。甲状腺エコーでは甲状腺が軽度腫大していたが、炎症性低エコーは認めず、99mTc甲状腺シンチでは集積がなかった。症状より副腎不全を疑い、ホルモン検査を行ったところ、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、cortisolの基礎値、尿中cortisol定量の低下を認め、甲状腺刺激ホルモン低値、プロラクチン(PRL)高値であった。hydrocortisoneの補充を開始し、食欲不振は著しく改善した。インスリン低血糖試験に対する成長ホルモンの反応は不良であったが、IGF-Iは正常範囲にあり、一過性に上昇した後正常化した。甲状腺中毒症は無治療で改善し、PRLも正常化した。その後の下垂体前葉ホルモン分泌刺激試験ではACTHの無反応を認めたが、他に分泌不全はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015