【特集コラム】便秘解消のための食事

透析患者における便秘の頻度は一般人口より多く，回診で便秘の訴えを聞かないことはない．慢性腎臓病患者，とくに透析患者では，水分制限，カリウム制限に伴う食物繊維の摂取量減少と腸内細菌叢の変化，運動量低下などによって便秘になりやすい．さらに，加齢や筋力低下による腸管蠕動の低下，糖尿病性末梢神経障害による消化管機能・蠕動能の低下，高カリウム血症改善薬やリン吸着薬の服用なども便秘の原因となる．慢性の便秘は患者のQOLを著しく損なうものだが，近年は，さらに心血管予後，腎予後，生命予後にも関連し，便秘がある人は，ない人に比べ腎不全進行速度が速く，末期腎不全に至る危険性が高いことが知られるようになった．