特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
3.血液透析液濃度の歴史と今後の課題
峰島 三千男
1
1東京女子医科大学臨床工学科
キーワード:
透析液濃度
,
酢酸透析液
,
重炭酸透析液
,
無酢酸重炭酸透析液
,
適正透析
Keyword:
透析液濃度
,
酢酸透析液
,
重炭酸透析液
,
無酢酸重炭酸透析液
,
適正透析
pp.151-156
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000794
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黎明期を除くと,透析液のおおまかな歴史はそのアルカリ化剤の成分による.すなわち1970 年代(第1 世代)の酢酸透析液,1980 年代以降(第2 世代)の重炭酸透析液,2007 年以降(第3 世代)の無酢酸重炭酸透析液の三つに大別される.透析膜を介した分子拡散による溶質の移動は,血液と透析液間の濃度差を推進力とする.したがって,透析液濃度の設定は除去(補充)速度を規定する意味において重要な意味をもつ.一方,Na のように血液と透析液間の濃度差が小さい場合,分子拡散に比べた限外濾過による移動の割合が大きくなる. 将来の透析医療では,患者の病態に合わせて,複数の承認済み透析液の配合比や希釈率の変更を自動制御によりリアルタイムに行い,適正な病態へナビゲートできる時代が訪れるものと思われる.
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