臨床検査のピットフォール
Shigella属菌の同定
三澤 成毅
1
1順天堂大学医療科学部臨床検査学科
pp.618-622
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530060618
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はじめに
Shigella属菌は,通性嫌気性のGram陰性桿菌であり,細菌性赤痢を起こす.分類学上は腸内細菌目(Enterobacterales)に属し,Escherichia coliと同一菌種であるが,病原的意義が大きく異なる医学上の観点から,属として独立している.
分類学上同一菌種であるということは,微生物学的検査において区別が難しい,または誤同定につながりやすいということである.近年普及が進んでいる質量分析法であるMALDI-TOF MS(matrix assisted laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry,マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法)でも,現状では両者を区別することはできない.
本稿では微生物学的検査のピットフォールとして,日常検査におけるShigella属菌の同定において注意すべき事項を解説する.

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