増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
3.応用編—遺伝子検査を利用する
1)感染症
(9)レジオネラ属菌
青木 志保
1
,
平泻 洋一
2
1長崎大学医学部臨床検査医学
2長崎大学医学部附属病院検査部
pp.1033-1037
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906351
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はじめに
グラム陰性桿菌であるレジオネラ属菌を原因とするレジオネラ肺炎は,1976年に米国フィラデルフィアで221名の原因不明の重症肺炎が集団発生し,そのうちの34名が死亡したことから,その存在が知られるようになった.その後,症例の報告が相次ぎ,欧米においては市中肺炎の8.6〜16.2%を占めるといわれている.わが国では1981年に第一症例が報告されたものの比較的稀な疾患とされてきた.しかし,PCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法や尿中抗原検査法の普及により,レジオネラ肺炎と診断される症例が増加するとともに,近年,新生児病棟における院内感染事例,あるいは循環浴槽水を感染源とする集団感染事例を認め,注目される感染症の1つとなっている.ここでは,レジオネラ肺炎の診断と,そのなかでの遺伝子診断の位置づけや具体的な方法について概説する.
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