特集 維持透析患者の喪失感―理解・克服への支援
8.心理療法士が捉える透析患者の喪失感
服巻 豊
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1広島大学大学院教育学研究科心理学講座
キーワード:
多様な喪失感
,
喪の仕事
,
身体と個人を尊重する姿勢
,
全人的ケア
Keyword:
多様な喪失感
,
喪の仕事
,
身体と個人を尊重する姿勢
,
全人的ケア
pp.1375-1380
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000189
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維持透析患者は,日々の多様な喪失感を抱えながらも自分らしい生き方を模索し続けている.彼らは,一時的にでも喪失感を忘れられたり,喪失感にこだわる自分をあきらめられたりすると,自分なりに新たな目標を作り,前向きに生きていくようになる.喪失感をもつ彼らへのケアにおいては,さまざまな症状を呈する身体そのものと個人の訴えに敬意を払い,工夫し続けている生活態度に関心をもつことが重要である.医療従事者が患者の身体と個人を尊重する姿勢は,患者との深い信頼関係を構築し,患者自らが喪失感と向き合い,喪の仕事をすることを促すサポートにつながる,つまり,全人的ケアの基盤になるものと考える.
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