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はじめに
周術期の患者管理においては,時々刻々と変化する患者の病態に合わせた治療をする必要がある。その場合に不可欠なことは,そのときの患者の呼吸・循環状態を短時間で的確に評価することである。身体所見のみで評価できればよいが,実際にはそれだけでは正確な評価は難しい。より詳しい検査をすれば評価の正確性は増すが,時間がかかりすぎる。このようなときにポイントオブケア超音波(point of care ultrasound:POCUS)の出番となる。
「ポイントオブケア」という考えは,そのときの患者の状態をリアルタイムで評価し,それをリアルタイムで治療に反映させる考え方であり,“evidence based medicine(EBM)” のような統計学的な考え方とは異なる。“EBM” も始まりから30年経過して,いろいろな問題が指摘され1)~3),緊急時には “EBM” よりも “ポイントオブケア” の手法がより適していると考えられる。
POCUSとは単なる “手段” であり,小児特有のやり方があるわけではない。小児の場合には,小児二次救命処置法の世界標準であるPediatric Advanced Life Support(PALS)4)の診療の流れの中でどのようにPOCUSを応用して,より効果的に患者の病態(ABCD)を評価し,治療に反映させて行くかが重要となる。
日本小児集中治療研究会では2016年に「小児のPoint of care ultrasound」5)を出版し,これをテキストとして小児を対象としたPOCUSの講習会を毎年4-6回開催し,全国への普及に努めてきた。この特集もPOCUSの普及の一助になることを祈念している。
The general condition of children in the perioperative period can change rapidly, and treatment should be adjusted to these patients’ rapid changes. Clinicians should assess a patient’s general condition quickly and accurately to adjust the treatment. A physical assessment alone is not sufficiently accurate, and a detailed examination and its results can take a significant amount of time. In such cases, point of care ultrasound(POCUS)may be helpful;however, POCUS is simply the means of inspection. There is no POCUS technique that is applied specifically for children, and in pediatric advanced life support(PALS)cases it is therefore important to include POCUS in a systematic approach to the assessment of the patient’s general condition.
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