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はじめに
成人でも小児でも,私たちは何かのきっかけがあり病院を受診する。一般的な流れは,まずは医師の診察(初診)を受け,必要に応じて採血,放射線領域の検査〔X線撮影,コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)・磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)検査,エコー検査など〕が行われる。診断がついたら,入院して治療になることがある。入院後の治療には薬物療法,外科的治療,放射線療法などがある。これらどの治療方法においても,痛みを含む苦痛症状を伴うことがある。治療が進むと,その評価をするために再度検査が必要になる。無事病気が治癒し外来診療に移行しても,経過の評価のために定期的な検査が必要になる。社会復帰したあとに,晩期的な治療の合併症で悩むことも出てくるかもしれない。
上記の流れで,子どもたちはいつ,どんなときに痛みを経験するのか? まず,腫瘍など器質的原因があって痛みを生じている場合,診察室に入って触診,聴診の時点で痛みを感じることがある。採血では針を刺すため,たいていの場合痛みを感じる。X線,CT・MRI検査,エコー検査では,痛みを伴わなくとも,一定時間じっとしていなくてはならないことは子どもにとって苦痛である。じっとできないことできれいな画像が撮れないと,その後の診断や治療に影響することもある。入院後の治療では,治療の副作用による口腔・咽頭粘膜障害,腸管粘膜障害,末梢神経障害などによる痛みを生じることがある。口腔・咽頭粘膜障害,腸管粘膜障害は食事摂取に影響する。末梢神経障害による痛みは,遷延し生活に支障を来すこともある。術後疼痛管理は,複数回手術を経験する子どもの場合,最初の手術で術後につらい痛みを経験するとその後の外科的治療に対する恐怖,不安が生じることがあるため,適切な鎮痛薬の選択と吐き気などの副作用対策が重要になる。
本稿では,痛みの基本について確認後,麻酔科医が携わると思われる子どもたちの治療に伴う痛みとその対応について述べる。
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