特別企画 こんな形成外科医と働きたい—他職種・他診療科に聞きます—
乳腺外科 乳房再建手術,お好きですか?
中平 詩
1
1がん研有明病院乳腺センター乳腺外科
pp.476-479
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2025050006
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はじめに
乳癌と診断され,乳房切除の説明を受ける—女性にとってそのアイデンティティやシンボルの1つともいえる乳房を失うことは,それはそれは衝撃的なことです。乳癌と診断されただけでも受け入れるのに精いっぱいなのに,乳房の喪失までも診断から短期間で受け入れなくてはならないという患者の心理的・身体的負担を,私たち乳腺外科医は忘れることのないよう心がけています。そのような患者の喪失感を少しでも軽減させ,自己イメージやQOLを改善させてくれる乳房再建は,乳癌治療においてなくてはならない存在であり,乳腺外科医にとって形成外科医は絶対的なパートナーです。
私が乳腺外科医を志し,修練を積んだ施設はハイボリュームセンターでしたので,形成外科医が複数人いて,週に何件も一次一期再建をしたりティッシュ・エキスパンダー挿入をしたりというのが当たり前でした。しかしそれほど恵まれた施設は多くなく,再建を希望して転院してくる患者もたくさんいました。癌の切除はもちろん重要ですが,それと同等かそれ以上に,患者が手術後も自分の身体に自信をもち,安心して生活を送れるようサポートすることも私たちの使命であると教えられました。そのためには,形成外科医との協力が不可欠であることは言うまでもありません。

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